パチンコ依存という闇 (その1)
ギャンブル依存の話をする前に、親のパチンコ歴についてちょっと触れておきます。
うちは、私が6歳の時に父親が病気で半身不随となり、就業不能となったため母親一人で働き、家計を支えていました。兄弟は兄が一人。これまでパートしかしたことのない母親が正社員として職を探し働いていくことは容易なことではなかったと思います。
私が中学校に上がるころには、彼女は日常的にパチンコをしていました。
その頃は病的なものではなく、ほんの気晴らしといったかんじで、日曜日にパチンコに行っているようでした。私もまだまだ子供だったので、たまに「きょうは勝ったからこづかいあげる」と言われ喜んでいたことを覚えています。
多分、この頃から彼女は少しづつ壊れ始めていたのでしょう。
その後、私は県外の大学から地元に戻り結婚。第一子を出産しました。そんな中、親の入院から最初の借金が発覚したのです。
親を問い詰めて何にお金を使ったか白状させると「パチンコ」でした。
「パチンコくらい、簡単に我慢できるでしょ。たまになら問題ないと思うけど、借金してまでやることじゃないし。これで本人も懲りたはず」と簡単に考えていました。
親がただの「パチンコ好き」であって、依存症なんだなんて、これっぽっちも考えていなかったのです・・・というか、「ギャンブル依存症」というものがあることすら知らなかったのです。
その後、入院していた親を引き取り、同居を開始しました。
同居後もたまにはパチンコに行っているようでしたが、まだ親自身仕事をしていましたし、あまり縛り付けるのもよくないと、様子を見ていました。
次の大問題「家庭内窃盗」が起こったのは親が退職した後でした。
当時、私は普通の引き出しに家計費を保管していました。
ある日、支払いがあるのでお金を用意しようと思ったら、封筒に入れていたはずのお金が足りないのです。
それまでも、「お金入れといた袋がないな」とか「あれ、これだけしか入れてなかったっけ?」と思うことはありましたが、勘違いかと思っていました。
しかし、今回は支払額がわかっていたので、きちんと数えて用意していたのです。
真っ先に顔が浮かんだのは、親でした。しかし、いくら聞いても「知らない」というばかり。疑いが晴れたわけではありませんでしたが、親を犯人と断定する証拠は何もありませんでした。
それから数か月、引き出しの中身が無くなったり減ったりすることはありませんでしたが、今度は夫のへそくりが無くなったのです。しかも夫が隠していた場所はだれにも分からないような所でした。今度も親に聞きましたが、やっぱり「知らない。勘違いじゃない?」と答える親。
夫は本当に泥棒に入られたと思ったらしく、警察を呼ぼうということになりましたが、これに焦った親は「そういえば、ちょっと借りた」とあっさり白状しました。
これには、情けなくてショックすぎて本当に泣けてきました。
「何に使ったの?」「パチンコ」
人からお金を盗んでまでパチンコに行くなんてどうかしてる。
この時、私は初めて親の言動に病的なものを感じたのです。